銀・シルバー製品の火ムラ・膨れ発生の改善方法

銀・シルバー製品の火ムラ・膨れ発生の改善方法
シルバー製品を取り扱う上で、避けて通れないトラブル内容です。
ネット上では、原因は書いていますが、改善方法など記載されていません。

鋳造製品の問題点である為、仕上げ職人さんだけでは、
対応が難しい内容だと思います。
鋳造屋さんと仕上げ屋さんの連携が必要な事柄です。

弊社は鋳造会社なので、改善させる対応方法を提案させて頂きます。

火ムラとは
鋳造製品シルバー925(Cu)などの銅割の合金に現れる金属の色ムラ。
純銀や銅を配合しない合金には現れない現象。

原因
鋳造工程終了後、Ag925(Cu)合金の表面が酸化され、
金属表面が不均一に酸化膜に覆われ黒くなっています。
その後、湯煎の希硫酸に漬け込み、酸化膜が無くなるまで浸しておきます。

鋳造会社は、上記の工程まで行います。

金属の色は、白く均一に上がったように見えるのですが、
実際は酸化銅が深く浸透した部分と浅い部分に分かれています。
肉眼で確認は出来ません。

仕上げ工程で、鏡面研磨を施していくと、
酸化銅が残留する深い部分とシルバー925として均一になっている
部分に、うっすらと肉眼で見える色むらが現れます。

酸化銅は、通常の925成分とは異なり、
厄介なことに強度が向上しています。
硬さと耐摩耗性が向上している為、
バフ研磨で磨いていくと通常の白い925(Cu)の方が
摩耗し段差が出やすくなり、製品の欠陥に繋がります。

火ムラの出やすい傾向と対応策
原因が分かっているのだから、本来は、鋳造会社で何とかしろ!
ということなのです。

仕上げ作業でも、ナマシ工程・ロー付け工程など、
製品に火を当て酸化させる工程もあり、
同じく火ムラの原因に繋がります。
一概に、鋳造工程だけの問題ではないものなのです。

傾向
火ムラの出やすい傾向として、厚みのあるゴツイ形状、
板のような平面で構成されるデザイン形状に火ムラが多く発生します。

鋳造時、それぞれ同じ形状でも、金属凝固が遅い部分、
厚みがあり凝固時間が遅くなってしまう部分に火ムラが現れます。

ほとんどの製品に火ムラはあると思って間違いないです。
製品の中でもその大小差があり、発生の頻度はまちまちです。
仕上げ工程で酸化膜が削られ、均一になっている製品は、
綺麗に仕上がっているだけなのです。

対応策
火ムラも製品によっては、酸化膜の深さが異なり削り取っても、
さらに深い部分があり、アウトになる場合もあります。
最小限に抑える方法として、仕上げ工程の見直し。

仕上げ工程順序の見直し
①鋳造上がり製品の電解研磨(シルバー専用液使用)
または、再度、酸洗い
②電解研磨が終わって、磁気バレル
③ヤスリ掛け・仕上げ工程

*超音波洗浄も、何かと悪さをします。
かけ過ぎと放置は危険です。

*火ムラが出そうな製品は、鋳造後、直ぐにバレルに入れると、
銅の酸化膜を叩き込んで、さらに深く浸透させてしまい
最悪な状態になることもあります。

重量が10g以上で厚みのある製品は、必ず酸化膜が深く入り込んでいます。
製品を抜粋して、電解研磨をお勧め致します。

電解研磨
硝酸系の銀用電解液を使用して下さい。

*ゴールド用の電解研磨液を銀製品に使用すると
真っ黒に変色します。間違えないように取り扱いをして下さい。

使い込んでいる電解液は、成分配合がバラついる為、
効果がなくなっています。硝酸は揮発します。

いつもは、良いのだけど・・・今回のキャストは悪い。
とまとまります。
薬品は、良く理解して使用しないと違う原因として、
思い込んでしまいます。

*過酸化水素水・シアン・お湯で反応させる方法もありますが、
適正な分量と熱量を加えなければ、安定しません。
また、換気・廃液も危険な為、記載は控えさせて頂きます。

銀用の電解研磨ではない対処法

銀に関して有効な薬品は、硝酸。
茶瓶に入っている硝酸は、濃硝酸であり危険な薬品。
酸性度は、弱酸性です。

水90%対し硝酸10%希釈すると、強酸性になりこれも危険。
水の水素イオンがあることで電離する為、強酸になります。

使用するのは、希硝酸をお勧めします。

硝酸
硝酸は、ティッシュやタオルなど近づけると発火します。
揮発性の酸化剤なので、加熱したり、長い間放置すると
二酸化窒素と水に分解して蒸発します。

*硫酸は、揮発しないので、希硫酸を放置すると濃硫酸に近づき
危険です。濃硫酸は水分を奪うので火傷して痕が残ります。

容器は、安全に行うために割れないステンレスの容器を準備。
発煙筒にも利用されるものなので、煙が発生します。
換気もしっかりできる場所で管理する。

それらが準備できてから、銀の製品を希硝酸に浸します。
銀製品の表面が均一に溶けて、一皮溶けてくれます。

濃度や使用頻度、外気温により異なるので、
真っ白になった!と思えば良いと思います。
何度か試して、使用して下さい。
(加熱する必要はありません)

使い方次第で、電解研磨と同じ効果、それ以上です。
強烈に溶けますので、目を離さないで下さい。
それで、金属表面が均一になり、火ムラが少なくなります。

弊社は、得意先からの要望があれば、
この工程を施して銀製品を納品させて頂きます。

1本のみサンプル試験などは、お断りさせて下さい。
1本のみでの見積もり依頼も、お断りさせて下さい。

見積もりは、下記 鋳造料金のページを
ご確認下さい。

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銀製品の膨れ
銀製品・シルバー製品を製造していく上で、もう一つ
厄介な現象が膨れの発生。

こちらは、鋳造品には、発生しにくい現象で、
板材や線材中心、溶解銀流し込み用の型に、流し込まれた素材に発生します。

具体的な現象
銀(Ag)元素の特徴として、熱伝導率が高い特性がある為と、
金属が溶解され液体になった状態で、大量の酸素・その他のガスを吸収
する特性をもち、金属の凝固時に一気にガスを放出します。
その影響で、スピッティング・シルバー(Spitting Silver)の発生。
凝固の方が早く、金属の塊の中に気泡やガスの通り道が残った状態で
一塊になっています。

注釈:Spitting=吹き出し・吐き出しの意味

その塊を、叩いて伸ばして板材・線材に加工しています。
どこに押し固められた気泡や、ガスの通り道があるか分かりません。
薄く延ばしているので、加熱すると気泡は、若干のガスが膨張して
まばらに ふっくらと膨れが発生します。

*メッキ工程においても、銀を下地に使用すると、膨れが発生します。
金属溶解とメッキ液と異なる素材と思われますが、原因は同じです。
*メッキ工程では、超音波洗浄で膨れや肌荒れが発生します。

原因・メカニズム
銀の特性として、光の反射率98%、展延性が優れている。
展延性に富むため、破れてガスが抜け出さないで、
風船のように伸びて膨らみ続ける為です。

原因としては、スピッティングと展延性が影響しています。

ではなぜ、銀元素より展延性に優れる金元素に現れないのか?
金属溶解した状態で、金は科学的に安定した元素であり、他元素と
化合物や、ガスを吸収しない性質を持つ為、元素の周りにガスの残留が
少ない為です。

イメージ・想像
スマホにカバーガラスを張り付ける場合、
小さな、ホコリが一粒あるだけで・・・
大きく、気泡が見ええる状態だと思えば分かりやすい。

改善策
地金販売会社の問題ですが、個人で溶解して
角材など制作されている方は、重要な問題です。
金槌で叩いたり伸ばしたりした後、ナマシで火を当てると
膨れが発生します。

素材特性の展延性は、避けられないので、
スピッティングの改善策を検討してみます。

SNSでは・・・
鋳造の対応策は、真空・無酸化・希ガスのガス置換と記載されています。
深く考えると正しくはないのです。

溶解して、液体になった金属は、外から酸素やガスは
混入しにくいもので、むしろ、ガスを排出してくれます。
金属表面だけの反応は起こります。

ではなぜ?=
もとの素材から大量にガスを含んでいるからです。

*工業で使用されるターゲット材は、無酸化銀を使用します。
無酸化銀の加工工賃は、銀相場と同等の高価な加工方法。
無酸化銀には、膨れが発生しません。

無酸化銀に近い状態の加工法
低い温度で溶解された状態は、液体でもゼリー状になっています。
ガスを含んだ状態でガスは、なかなか抜けてくれません。
溶解温度を上げていくと、ゼリーはサラサラになり
ガスが抜けやすくなります。これがヒントです。

その温度帯と、鋳造温度帯は異なりますので、
鋳造温度とは、切り離して検討して下さい。

歯科業界で銀素材の鋳造は、大気中で行います。
かえって、一般以上に綺麗に鋳造されています。

銀素材の鋳造は、真空・無酸化・希ガスのガス置換
だけでは、改善出来ません。

金属を型に流す時は、手作業で行なうので
再度、ガスが入りやすいですね。
鋳造も流し込むので、同じです。

*コップの中に水を流し込むと、たくさん気泡が見えます。
どろどろの液体だと、どうなるでしょうか
想像できますね。

*水を密封して、減圧(真空に近づける)していくと、
泡が発生します。気体が膨張しているからです。

*銀・シルバー素材は、凝固時
Spitting=吹き出し・吐き出しが発生する。

どの工程でも、溶解した金属の湯面を見ると
ガスが抜けているか、分かるものです。
それぞれの特性を利用すると改善策を閃きます。

これで、改善策を思いつかなければ・・・
基本学習が足りません。
説明しても、理解されず改善できないということです。

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